国にも答えがない、だから決断した 鈴木直道知事の選択

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聞き手 松尾一郎 編集委員・塩倉裕
【動画】コロナ禍初期の対応を振り返る鈴木直道知事=戸田拓撮影
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 長期戦になりつつある新型コロナウイルスとの戦い。日本でその前線に立たされた政治家に、北海道の鈴木直道知事(39)がいる。政府に先駆ける形で今年2月に休校要請を実施、自治体独自の「緊急事態宣言」と「外出自粛要請」も続けて打ち出した。その目に国や専門家の存在はどう映り、どのように決断したのか。

すずき・なおみち

 1981年生まれ。埼玉県出身。高校を出て東京都庁に。法政大学二部卒業。2011年の北海道夕張市長選に30歳で当選した。19年4月から北海道知事

 ――北海道住民から初のコロナ感染者が出たと発表されたのは2月14日。そのあと半月ほどの間に道独自の対策を相次いで打ち出しました。感染が広がった際の記憶は、どのようなものですか。

 「北海道では全国に先行する形で感染が拡大しました。半月間は、まさに目に見えない敵との戦いで、心の中に『なぜなんだ』という思いがありました。人口の多い札幌ではなく、なぜか全道各地に感染が広がっていた。日本の国土の22%を占める北海道で広域的に広がる、見えない敵。その怖さをすごく感じ、高い緊張感の中での対応を迫られました」

 ――感染については中国由来であることや、さっぽろ雪まつりとの関係が指摘されましたね。広範にポツポツと広がっていたことが、なぜそれほど懸念に?

 「全道各地にいわゆる孤発例がポツポツ出ているという現象の意味が私たちには当初分からなかったのです。ただ、ポツポツいる陽性者の背景により多くの陽性者がいるのではないかということは、容易に想像できました。しかし、人の接触機会が多いはずの札幌では感染確認が多くない。では誰がウイルスを伝播(でんぱ)しているのだという不安を、強く感じていました」

 ――2月25日、北海道は感染者数で東京都を抜き、全国最多になりました。翌26日には、全道約1600の小・中学校を対象にした1週間の休校要請を出しました。

 「学校関係者の感染が相次ぎ、子どもや保護者、現場に不安が生じていました。また今でこそ『発熱のある人は登校を控えよう』が常識になっていますが、当時はまだそうなっておらず、責任感の強い先生が多少体調が悪くても教壇に立つ可能性も想定されました」

 ――休校要請について説明した記者会見で「国も答えを見いだすことができない状況だ」と言いましたね。国が答えを持っていないという判断の根拠は何ですか。

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 「国は、萩生田光一文部科学…

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