問われる科学と政治の距離 コロナ禍「透明性こそ重要」

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聞き手 シニアエディター・尾沢智史
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 新型コロナウイルス対策では、政治と専門家の関係が問われた。東京電力福島第一原発事故の後に設置された原子力規制委員会の初代委員長として、政治と科学のせめぎ合いの現場にいた田中俊一さんは、専門家のあり方をどう見ているのか。退任後、月の半分を福島県飯舘村(いいたてむら)で暮らす田中さんを訪ね、聞いてみた。

 ――原子力規制委員会の組織理念には、第一に「独立した意思決定」が掲げられています。しかし実際には、政治から独立していなかったという批判もあります。

 「十分に独立できていたし、今もしていると思いますよ」

 ――なぜそう言えるのですか。

 「議論のプロセスを完全に透明にしたからですよ。すべての会議を完全にオープンでやった。日本の行政では画期的なことです」

 「公開するのは勇気がいる。でも、専門的な議論とそれに基づく判断のプロセスを隠しても意味がない。完全にオープンになっていれば、むしろ後からいろいろ言われずにすみます。独立性を担保する一番の方法ですよ。そういう意味では、規制委員会は独立していたと思うし、判断が政治家に左右されることはなかった」

 ――新型コロナ対策では、安倍晋三首相の記者会見に専門家が同席しました。科学と政治の距離が近すぎるとは感じませんか。

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 「距離が近いこと自体は別に…

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