今こそ寛美、光子の名演を 落語作家お薦め「人生双六」

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聞き手・篠塚健一
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 自宅で楽しめるDVDやCDなどを紹介する「私の逸点」。今回は落語作家のくまざわあかねさんが、大好きな松竹新喜劇シリーズから「人生双六」について語ります。

 いま、つらい状況にいる人に優しい芝居。頑張っている人にも、人とのつながり方を教えられる。DVDで見られる松竹新喜劇の「人生双六(すごろく)」はそんな作品です。

今こそ見たい松竹新喜劇

 人生のドン底で宇田信吉(藤山寛美)と浜本啓一(高田次郎)が出会い、5年後に再会を約束する。それから人生のサイコロの目がどんどん出た浜本と、出なかった宇田。浜本はすごく会いたい。宇田は会えないと思う。でも、浜本の勤め先の社長の妻(酒井光子)が、自分の立場を明かさずに会わせてくれる。

 人の気持ちがプラスとプラスでつながる。そして、会えて良かっただけでなく、2人はまた5年後に会う約束をする。次への希望とともに終わり、あったかい気持ちになれます。

くまざわあかねのプロフィール

くまざわあかね 1971年、大阪市生まれ。落語作家。NHKのテレビ番組「上方落語の会」で案内役、「関西発ラジオ深夜便」では「上方落語を楽しむ」の解説を担当する。

藤山寛美、酒井光子のすごみ

 筋はシリアスなところも多いけど、寛美先生はコミカル。雪で足を滑らせるという、登場の足取りだけで笑えます。セリフで笑わせたり泣かせたりできるのに、動きも面白くてしかもきれい。酒井さんもすごい芝居をしている。義理の息子でもある浜本を宇田に会わせてやりたい。でも、宇田のプライドも傷つけへん。お金をあげて会えるようにしたのに、浜本の家で顔を合わせたら「恥ずかしい思いをさせてしまいましたねえ。すみません」。このセリフが優しいんです。

後半の読みどころ

いまなら誰が宇田役を演じるのを見たいか。くまざわさんの大胆な妄想キャスティングが飛び出します

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