生産拠点の脱中国、アジアで加速「千載一遇のチャンス」

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ハノイ=宋光祐 奈良部健 ジャカルタ=野上英文 重慶=福田直之
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 この10年ほど続いてきた、中国以外のアジアに生産拠点を移す動きが、米中貿易摩擦とコロナ禍をへて加速している。日本などでも「自国回帰」の動きが出るなか、中国側は警戒感を強めている。

アップルの最新イヤホンはベトナム

 ベトナムの首都ハノイから約40キロ北東にあるバンチュン工業団地。中国の受託生産大手「立訊精密工業」(ラックスシェア)の工場には午前8時の操業時間が近づくと、労働者たちがバイクや徒歩で次々と出勤してくる。米アップルのワイヤレス型イヤホン「エアポッズ」を組み立てているとされる工場だ。

 ラックスシェアは6月上旬、SNSの公式アカウントに新たな求人を投稿。ベトナムの国営テレビは8月までに充電用ケーブルとイヤホンの生産ラインで働く労働者を数千人雇う計画だと伝えた。

 アップルも4~5月にかけてハノイや南部ホーチミンで働く技術者や工場管理者を公式サイトで募集。新型コロナウイルスをいち早く封じ込めたベトナムに、中国から生産の移行を加速させているとの見方が強まっている。工場の外で朝日新聞の取材に応じたラックスシェアの男性従業員は「今は中国でも作ったことのない最新モデルのイヤホンを生産している」と打ち明ける。

 外資と外国市場に依存して経済を発展させてきたベトナムにとって、「脱中国」の動きをつかめるかどうかは「コロナ後」の成長を左右する。フック政権はコロナ封じ込めの成功を「千載一遇のチャンス」として、関係省庁や産業界に働きかけを強めている。

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 ベトナム統計総局によると…

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