米民主党大会、バーチャルで開始 まるでテレビ特番?

有料記事

ワシントン=香取啓介 渡辺丘
【動画】アメリカ大統領選の構図が固まった。共和党のトランプ氏VS民主党のバイデン氏。ポイントを動画で解説します。
[PR]

 11月の米大統領選に向けた野党・民主党の全国大会が17日、始まった。24日からは与党・共和党の全国大会も開かれ、両党の候補者が正式に決まる。4年に1度の党大会は党員の結束を高め、一般有権者にアピールする重要な機会だ。しかし、今回は新型コロナウイルスの影響で大幅に縮小され、ほぼすべての行事がオンラインで開かれる異例の「バーチャル党大会」になる。(ワシントン=香取啓介、渡辺丘)

 「みなさんと一緒に集まりたかったのですが、安全で責任あるやり方で、我々の考えを共有し、この国の未来を語り合う方法を取りました」

 民主党全国大会の冒頭、司会役の俳優エバ・ロンゴリアさんがスタジオから語りかけた。全米各地の有権者へのインタビューと、政治家の演説を、コロナ危機に立ち向かう人々や黒人差別への抗議運動の映像でつなぐ。中継で参加する人もいるが、事前収録も多く、テレビ特番のようだ。この日は、オバマ前大統領の妻ミシェルさんやサンダース上院議員らが演説した。

 民主党大会は、7月半ばにウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される予定だった。しかし、新型コロナの感染拡大を受けて8月に延期され、ほとんどのイベントがオンラインで行われることになった。通常であれば各州・自治領からの数千人の代議員に加え、党関係者やメディアら数万人が一堂に会するイベントだが、今年は数百人程度だ。会場も地元のNBAチームが使うアリーナから、より小さいコンベンションセンターに変わった。

 バイデン前副大統領(77)とハリス上院議員(55)を正副大統領候補に正式指名したり、党綱領を採択したりする手続きは電子メールを使った投票となった。最終日に指名受諾演説をするバイデン氏もミルウォーキーには行かず、地元デラウェア州にとどまる。

 民主党は有権者にアピールしようと、政治家の演説のほか、人気歌手のビリー・アイリッシュさんらもパフォーマンスを披露する予定だ。ただ、会場の反応などがないなか、どれほど盛り上がるかは未知数だ。

 一方、共和党大会は24日から4日間の日程だ。トランプ大統領(74)の意向を踏まえ、演説会場をノースカロライナ州シャーロットからフロリダ州ジャクソンビルに変更してまで通常開催を模索したが、フロリダ州での新型コロナの感染拡大を受けて断念。主会場はシャーロットのまま、やはりオンラインを中心に開催することになった。

 しかし、トランプ氏の候補者指名と演説のほかは、詳しいスケジュールはほとんど明らかになっていない。トランプ氏はホワイトハウスから演説することを明らかにしているが、政府施設を選挙活動に使うことに疑問の声も出ている。

「ワクワク感のないイベントに変わった」

 大統領選に向けた米国の主要政党の全国大会は、19世紀から行われてきた。かつては党大会まで候補者が決まらず、各州の代議員が何回も指名投票を繰り返した。しかし、1970年代からは各州の予備選や党員集会の結果が重視され、候補者は開催前から内定するようになった。そこで、党の結束を演出し、一般有権者に正副大統領候補を売り出す機会に変わった。

ここから続き

 最近はますます、テレビ向け…

この記事は有料記事です。残り750文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら