揺れるニチイ学館のMBO 創業一族の1人「私は反対」

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聞き手=大鹿靖明
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 介護大手ニチイ学館(東証1部上場)の経営陣や創業一族らが非上場化のために行う自社買収(MBO)を巡り、外国人投資家や創業一族の一部が17日、相次いで異論を唱えた。同日はMBOのための株式公開買い付け(TOB)の期限で、18日に買い付け結果が公表される。

 ニチイは創業者の寺田明彦会長が昨年死去。経営陣や創業一族、米系ファンドのベインキャピタルが今年5月、経営改革のために非上場化するとしてMBOを表明し、当初1株1500円でTOBするとしていた。しかし香港系ファンドのリム・アドバイザーズがTOB価格に不満を表明。創業一族らはTOB価格を1株1670円に引き上げ、買い付け期限も延長した。

 その期限日の17日、別の香港系投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアと、創業一族の1人がTOBに異論を表明した。ベアリングは、1株2千円で友好的TOBを創業一族と実施することを7月中に提案していたと発表。また、創業一族の1人は「コロナ禍という混乱に乗じて不当に低い価格が決定された」と指摘する書簡を公表した。経済産業省が定めた「公正なM&A指針」を無視した点も「公正性を欠く」とし、TOBに反対を表明した。

 ベイン側の広報担当者は「対抗TOBを仕掛けてこないのであれば、我々のTOBは成立するだろう」とコメントした。ニチイ株は17日、前日比33円(1・98%)高の1698円と、TOB価格を上回って取引を終えた。

創業一族の1人「株主、ないがしろに」

 介護大手・ニチイ学館の経営陣や創業一族らが、経営改革のために目指す自社買収(MBO=マネジメント・バイアウト)。そのための株式公開買い付け(TOB)の期限となった17日、創業一族の内の1人が、今回のTOBに反対する見解を公表した。期限当日の土壇場になぜ表明したのか。この人物が匿名を条件に朝日新聞のインタビューに応じた。

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 ――なぜ反対を表明したので…

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