核ごみ処分場、突然応募を表明した寿都町 その訳とは?

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佐久間泰雄 松尾一郎 芳垣文子 長崎潤一郎
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 原発使用済み燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)。その最終処分場の候補地選定に向けた国の文献調査に、北海道寿都町の片岡春雄町長(71)が応募する方針を表明した。町長は応募の理由について「町の財政の将来に危機感がある」と述べ、国からの最大20億円の交付金の活用を挙げた。ただ、北海道には「(核のごみを)受け入れがたい」とする条例があるほか、町民からの反発も予想され、町長の方針通りになるかは分からない。(佐久間泰雄、松尾一郎、芳垣文子、長崎潤一郎)

 片岡町長は13日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。候補地選定の第1段階にあたる文献調査に応募する理由について、新型コロナウイルス感染拡大により産業が打撃を受けていること、町税収入が年2億円ほどしかない町財政の将来への不安などを挙げた。

 そのうえで、調査に入った自治体には、国から2年間で最大20億円の交付金が出ることを強調。「交付金を有効に活用できれば、少しは助かる。なるべく早めに手を打つべきかなと考えた」と述べた。

町長「勇気を持って名乗り」

 経済産業省は17年7月、最終処分場の適地を図示した「科学的特性マップ」を公表したが、寿都町の大半は適地とされた。その町が文献調査に応募するということは、国の最終処分場の候補地選定に名乗りをあげたことを意味している。

 ただ、最終的に最終処分場の建設を受け入れる可能性があるか問われると、片岡町長は「地質調査も進んでいない、安全かも確認できていないなかで、そんな前のめりの話をすべきではない」と言葉を濁した。

 さらに、片岡町長は「勇気を持って(調査に)名乗りを上げたい。(町内外から)相当なバッシングが出てくると思う。それは覚悟の上だ。国は相当喜ぶと思う」と述べた。一方、「地元の人には、丁寧に説明をしなければならない」と語り、町議会や町民の意向に背いて「押し通すつもりはない」とも語った。

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 また、今回の方針について誰…

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