アオウミガメ、定置網の混獲が増加 「捕食圧」減った?

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清野貴幸
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 絶滅が危ぶまれているアオウミガメが高知県室戸市沖の定置網に入り込む事例が増えている。記録している地元の「むろと廃校水族館」(同市)によると、今年は7月までに150匹に上り、集計を始めてから最多となった。原因は特定できていないが、年々増加傾向という。

 アオウミガメは甲羅の長さが1・1メートル以上、体重200キロ以上にもなる大型のウミガメ。県内でも産卵するアカウミガメよりも暖かい海を好み、小笠原諸島(東京)や屋久島(鹿児島)などに産卵のため上陸する。成体の主食は海草や藻で、環境省、県ともにレッドリストで絶滅危惧種に指定している。

 廃校水族館を運営するNPO法人・日本ウミガメ協議会(大阪)は、水族館が開館した2018年以前から室戸でウミガメ調査をしている。地元の定置網の組合など3団体から、網にウミガメが入れば連絡があり、体の大きさを測るなどして標識を付けて放流している。

 廃校水族館によると、今と同じ集計になった05年以降で最も多く混獲されたのは16年の103匹で、今年は既に大幅に更新した。昨年(79匹)の2倍近くに上っている。今年は若い個体が多いという。

 1カ月単位での最多は07年6月の22匹だったが、今年の6月に56匹、7月に57匹を数えた。年によって増減はあるが、12年までの8年間は年平均55・3匹だったのに対し、13~19年の7年間は同74・9匹で、近年の増加傾向が見てとれる。

 近年の傾向について廃校水族館の若月元樹館長は「人間に食べられる数が減ったことが背景にある」とみている。肉に臭みが少ないためか、かつて世界的に食料にされた。現在でも食習慣がある小笠原諸島では都が年間135匹までの捕獲を許可している。だが近年の保護思想の高まりや食文化の衰退などで「捕食圧」が減っていると考えられるという。

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 若月館長によると、協議会が…

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