第1回それは歴史が決めた 中国残留孤児3世が教師になるまで

有料記事私が日本にいる理由

片山健志
【動画】私が日本にいる理由=片山健志撮影
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 7月の終わり、札幌市中心部の市立札幌大通高校。4階の教室で、1年生の「コミュニケーション英語」の授業が開かれていた。開け放たれた窓からさわやかな風が入り込み、日本の漫画を題材にした英会話教材の音声が響く。途切れると、山口千恵子教諭(34)が口を開いた。「では、教科書を開いて和訳を完成させてください」

 約30人の生徒に指示を出すとまもなく、山口さんは最前列の窓側にいる男子生徒2人に近づいた。教室の後ろからは聞き取れないほどの小声。今、みんなに話した内容を中国語で伝えていた。その2人は昨年入学した中国人で、日本語がまだ十分に理解できない。中国語も駆使してかれらの理解を促す。

祖母は中国残留孤児

 大通高校は2008年に開校し、単位制で多様な学び方が選べる。山口さんは09年、ここで教師として第一歩を踏み出した。英語のほか、選択科目の中国語も担当する。中国語の授業や担任を務めるクラスでは、はじめにこんなふうに自己紹介している。

 「私がなぜ今、日本にいるのか。どうして中国語を担当しているか。それは、歴史が決めたことです。私の祖母は、中国残留孤児でした」

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■ハルビンで育って…

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連載私が日本にいる理由(全3回)

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