1998年夏、第80回全国高校野球選手権記念大会の準々決勝、横浜(東神奈川)―PL学園(南大阪)。マウンドには「平成の怪物」松坂大輔(西武)がいた。だが、PLは序盤から3点をもぎ取る。その陰には極秘の作戦があった。当時PLの主将だった平石洋介(前楽天監督)が取材に明かした真相とは。
高校野球取材歴の長いベテラン、安藤嘉浩編集委員が語ります。白熱の実況音声とともに、朝日新聞ポッドキャストでお楽しみください。主な内容は以下の通りです。(文中敬称略)
・「最高視聴率」のNHKスペシャルが解き明かせなかった秘密
・ベンチに待機、PLのエース上重聡(日本テレビアナウンサー)の思い
・松坂の言葉に「ムッとした」渡辺元智監督
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「平成の怪物」と呼ばれた松坂。前年、1997年の秋から彼を追い続けた1年でした。横浜高校の渡辺監督にお願いし、定期的に学校に通い、一緒に車に乗せてもらったり、ジムへ行ったりして密着しました。
記者にこびないが、嫌な顔をしたりしないおおらかさがありました。また、控え選手と仲がいい。悲劇が予想できない雰囲気、強さがありました。実際に横浜は、前年秋の新チーム結成以来、公式戦35連勝で夏の甲子園に戻ってきました。
そうして迎えた98年夏の第80回全国高校野球選手権記念大会は、第1日からドラマ続きの大会でした。
松坂の試合を担当させてもらい…