原爆投下の正当性、若い世代は 米学者が語る変化の兆し

有料記事戦後75年特集

ワシントン=渡辺丘
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 原爆投下は第2次世界大戦の終結を早めた――。米国内の通説に対し、「日本への原爆投下は必要なかった」とする著書『原爆投下決断の内幕』を25年前に出版した米国の歴史学者、ガー・アルペロビッツ氏(84)は現在も、核兵器について積極的な発言を続けている。核兵器廃絶への道のりは遠いままだが、米国では若者を中心に変化の兆しも見られると言う。広島・長崎への原爆投下75年を前に、ウェブ会議システムで話を聞いた。

 ――米ニューメキシコ州で世界初の核実験が行われてから75年を迎えた7月16日、トランプ米大統領は実験を「偉業」と称賛し、「第2次世界大戦の終結に寄与した」「核抑止力は米国や同盟国に大きな利益をもたらした」とする声明を出しました。

 「トランプ政権下で軍拡競争は再び、制御不能に陥ろうとしています。世界中で核戦力は増強されており、過去75年間で核兵器が使われなかったことは幸運に過ぎません。事故や危うい指導者の過ちで、大量破壊が起きる可能性が非常に現実味を帯びています」

 ――1995年の著書で、日本への原爆投下は軍事的に必要なかったと指摘しました。

 「私の史料研究では、後に大統領になるアイゼンハワー・欧州戦線最高司令官を含めて多くの軍高官は、原爆の使用は全く不必要だったと公言しています。そんななか、戦後のソ連の覇権を懸念するバーンズ国務長官が外交的な理由から、トルーマン大統領に原爆の使用を進言したのだと、指摘してきました。これは原爆は戦争終結に必要だったという伝統的な学説に反し、激しい非難を浴びました」

 ――それから四半世紀が経ち、米社会は変わりましたか。

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 「オバマ前大統領が16年に…

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