第5回打ちでの小づちで「お肉券」? 要望合戦、迷走に拍車も

有料記事自民党 長期政権の果てに

西村圭史
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 安倍晋三首相自民党総裁としての任期の終わりが見え、自民党は節目を迎えています。「1強政治」を支えてきた党の変容と実像を追う連載「自民党 長期政権の果てに」。第5回は、新型コロナ対策で迷走が目立った、党の政策論議のいまを取り上げます。

 5月20日午後、東京・永田町の自民党本部は異様な熱気に包まれていた。

 数十兆円に及ぶ第2次補正予算案の政府への提言が、この日まとめられることになっていた。議論の会場に詰めかけた議員は100人超。「ターゲットを絞って議論を行わなければならない」。政調会長岸田文雄は冒頭にそう釘を刺したが、出席者の多くは聞く耳を持たなかった。

 「100兆円の予算が必要だ」「消費税を減税すべきだ」……。我も我もと手を挙げる議員の発言が続くこと計4時間。算定根拠がないままに金額が飛び交い、政策論議というより自己アピールのような主張も目立った。大蔵官僚出身で元経済産業相の宮沢洋一は、その様子に眉をひそめた。「財源を顧みない乱暴な議論だ。消費税を上げるのに、どれだけ汗を流したかを知らないのか」

 この6日前、首相の安倍晋三は「もう一段の強力な対策が必要」と、2次補正予算案の編成を指示した。1次補正では、混乱の末に「10万円の一律給付」などを盛り込んだが、執行の遅さなどが問題になっていた。「またこけたら選挙で負ける」。党内は焦りが充満していた。

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 それから3週間後、補正予算…

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