強制不妊手術の被害者に一時金を 現場職員の地道な努力

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田中陽子 浜田知宏 聞き手・浜田知宏
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 旧優生保護法(1948~96年)の下で不妊手術をされた障害者らに一時金を支給する法律ができて1年以上が経つが、請求が伸びず、支給は進んでいない。被害者に届けようと模索する施設や行政の現場から課題を報告する。(田中陽子、浜田知宏)

受給わずか2.6%

 「不良な子孫の出生防止」を目的とした旧法の下で不妊手術をされた人は、統計に残るだけで計約2万5千人。だが、被害者に一時金320万円を支払う法律ができた昨年4月以降、今年7月末までに支給を認められたのは2・6%、661人にとどまる。

 年代別では40~100歳代に及ぶ。70代が230人で最も多く、60代182人、80代165人と続く。手術実施の記録がなく、審査を経て認められた人が552人を占める。被害者の多くは高齢で、記録が失われている。

 「法律ができるのが10年早ければ、違ったと思います」

 関東地方にある障害者施設の職員はそう話す。主に知的障害のある80人以上が暮らす施設の歴史は長く、入所60年に及ぶ人もいる。手術を受けた人がいるのではないか。施設では昨年、旧法が効力を持つ96年以前の入所者の記録をすべて調べた。

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 手書きの資料を何日もかけて…

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