先手必勝、小さな村から学ぶ決断力 隣の州では感染爆発
欧州で最初に新型コロナウイルスの感染爆発が起きたイタリアで、小さな村で始まった封じ込め策が国内の感染拡大防止のモデルとなった。保健医療を管轄する州ごとの判断で、被害の大きさの明暗が分かれた実態も浮かび上がる。(イタリア北部ボ=河原田慎一)
ベネト州の州都ベネチアから西に約50キロ。エウガネオと呼ばれる丘陵地帯にブドウ畑が広がる。このワインの産地で、「ボ」という名の小さな村が突然、世界の注目を集める「感染源」の一つになった。
村役場前にあるバー兼宿屋で今年2月21日、客だった男性(78)が発症して入院。その日のうちに死亡した。ほかの客8人も、陽性が確認された。この中には村の助役もいた。バーは常連たちがテレビでサッカー中継を見ながらカードゲームに興じる憩いの場だった。
同月中旬の時点で、イタリアでの新型コロナの感染者は、中国からローマに来た観光客夫婦の2人だけ。人口3300人の村にとっては遠く離れた都市の出来事で、感染を心配する人はいなかった。死亡した男性は、中国への渡航歴はない。イタリア国内で感染して死亡した初のケースとして、激震が走った。
ジュリアーノ・マルティーニ村長(63)は、男性が入院したその日に、パドバ県の保健所長からの連絡で、村での発生を知った。すぐにバーや公共施設を閉鎖。村にいる3人の薬剤師は隔離され、薬剤師でもある村長と息子が24時間対応で薬局を開き続けた。2日後には、村に通じるすべての道路が封鎖され、村への人の出入りが禁じられた。
「病院に行ってもいいのか」…
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