科学が届かない米コロナ政策「トランプ氏に指導力ない」

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聞き手・沢村亙=ワシントン
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 米国で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。トランプ政権の対応のどこに問題があるのか。米国が誇る科学的な知見が政治に届かないのはなぜか。オバマ前政権で科学技術担当の大統領補佐官を務めたジョン・ホルドレン氏(ハーバード大教授)に聞いた。

John Holdren

1944年生まれ。ハーバード大学教授。専門は理論物理学と環境政策。2009~17年、オバマ前政権で大統領補佐官を務めた。

 ――トランプ政権の新型コロナウイルスへの対応が批判を浴びています。どこに問題があるのですか。

 「トランプ大統領の対応は問題だらけです。根拠もなく『ウイルスは消える』と放言したり、安全性が確認されていない薬を国民に薦めて、自ら服用してみたり。しかし、最大の問題はリーダーシップの欠如。これに尽きます」

 ――大統領としての役割を果たせていないということですか。

 「本来、感染症対策は連邦政府が音頭を取って進めるべきものです。だが、トランプ氏は自らに非難の矛先が向かないように、対応の責任を州に押しつけました。加えて、連邦政府内でカギを握る要職がいまだに空席のままだったり、大統領の不興を買ってポストを追われるのを恐れて専門家が沈黙を強いられたりもしています」

 ――マスクを着用するかどうかが米国では政治的な論争にもなりました。

 「社会の分断が深まり、支持する党派の主張にそって政治的意思を決めるという風潮が蔓延(まんえん)しています。特にトランプ氏の支持者は、エビデンス(根拠、証拠)を吟味したり専門家の意見を聞いたりして真実を見極めるよりも、トランプ氏の主張のみを真実として受け入れる傾向が強いのです」

 ――たとえば、どんなケースですか。

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 「トランプ氏がマスク着用を…

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