さよなら、47歳の桑栄メイト 東京から来て挫折した私

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大滝哲彰
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 三重県桑名市桑名駅改札直結のビル「桑栄(そうえい)メイト」。7月31日をもって47年の歴史に幕を閉じた。閉館を前に、東京から桑名に移住してきた女性が中心となって無料のタブロイド紙を発行した。

 「心が折れた場所」

 福田ミキさん(38)にとって、桑栄メイトはそんな場所だった。

 今から6年前、生まれ育った東京から元夫の転職を機に、桑名市に移住してきた。「(東京では)ネオンで光合成していた」と言うほど、東京での生活が好きだった。

 「桑名にも駅ビルがある」と聞いていた。想像していたのは、「ルミネ」や「高島屋」。近鉄電車に乗り、初めて桑名駅で降りた。改札を出て、目の前に現れた白とオレンジ色の看板にはこう書いてあった。

 「心ふれあう 桑栄メイト」

 中へ入ると、緑色の床、薄暗い照明、飲食店から出ているであろう独特なにおい……。一気に足が重くなった。「これからここで生活していくのか」「やっていけない」「無理だ」――。ネガティブな感情が次々と湧いてきた。

桑名での生活「必死だった」

 趣味はなく、友達もいない。だから部屋から出ることもない。人と話すことがない日々で、声を出すこともなくなった。「このままじゃだめだ」。そう思い起こし、週5回、フラダンスや料理などの習い事に通った。「何かを得ようと必死だった」

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