島根)高校野球大会、優勝旗寄贈 矢上OBの野田さん

小西孝司
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 コロナ禍で全国高校野球選手権島根大会は甲子園につながらない独自大会となり、異例ずくめとなっている。優勝旗も例年のものは使えなくなったが、ある男性から「僕が贈りますよ」と申し出が寄せられた。

 深紅の地に、「令和2年度島根県高等学校夏季野球大会」の金糸が輝く優勝旗。4日の決勝で優勝校に手渡されるまで、県立浜山球場(出雲市)の本部席でグラウンドの熱戦を見守っている。

 寄贈を希望したのは、音楽アーティスト専門の鍼灸(しんきゅう)やマッサージの会社「MEGAPAN(メガパン)」を経営する野田峻也さん(30)=大阪市。邑南町出身で、県立矢上高校の卒業生だ。

 「無観客だし、優勝旗もない。どうやったら高校生の思い出の大会になるだろうか」。高校時代の生徒会顧問だった県高野連の大峠昌裕・常務理事(大田高校教諭)から話を聞き、「どうせだったら特別な大会にした方がよい」と優勝旗を思いついた。自身はバスケットボール部員だったが、「球児らが『島根出身でよかった』『コロナがあったけど特別な大会だったな』と思ってもらうきっかけになったらいい」と話す。

 開会式の日、野田さんが大阪から車で持ち込んだ旗を見た大峠さんは驚いた。「100万円はかかっていてもおかしくない」。県高野連の吉川靖会長は「島根の球児のためにここまでしてくれ、感謝しかありません」。

 野田さんは優勝旗のほかにも、母校や大田高校にマスクを寄贈したり、7月に水害被害を受けた江津市に食料品などを届けたりした。「30歳になったら島根のために何かできないかと考えていました。仕事はコロナのダメージをもろに受けたけど、今後も困っている人がいたら僕でよければ何かしたい」(小西孝司)

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