「村長」と呼ばれたホームレス、パラ選手の中で生きる
井上裕一
河川敷に、心地よい風が吹き抜ける。東京都江東区の旧中川。長い梅雨が明けた1日、瀬立(せりゅう)モニカさん(22)は車いすを降り、長さ5・2メートルのカヌーに乗って川面に滑り出した。
練習後、川沿いの艇庫に戻ると、一人の男性の写真の前で笑顔を見せた。
「これからもずっと、見守っていてね」
旧中川にかかる橋の下。それが、写真の男性の住まいだった。スキンヘッドにヒゲが特徴。ブルーシートを張り、よく酒を飲んでいた。いつ、どうしてここに住むようになったのかは、誰も知らなかった。飲み仲間だったという近くのホームレスの男性(69)も「いくら酔っ払っても、詳しい経緯は語らなかった」。
いつしかカヌー村の「村長」と呼ばれるようになった男性は何者なのか。記事の後半では、彼の経歴と、子どもたちとの交流の結末が明らかになります。
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この河川敷に、10年ほど前…
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