第11回テレワークで浮かぶ世代間ギャップ 生き抜く秘訣を聞く

有料記事今こそ聞きたいDX

真海喬生
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 先日取材した、通訳を企業などに派遣・仲介する会社経営者からこんな話を聞いた。

 「どんなに通訳としての能力が高くても、ITの運用面に不安がある人に仕事は依頼しにくい。コロナ問題は『優秀な通訳』の定義を変えた」

 新型コロナウイルスの感染拡大後、実際に人が集まって開かれる会議や記者会見は次々に中止・延期になり、代わりにテレビ会議システムを使って通訳する仕事が増加。自宅で1人で通訳するため、音質の調整や通信トラブルに自力で対処できることが、通訳に期待される重要な能力になったというのだ。

 こうした「テレワーク在宅勤務)」の拡大による変化は、通訳の世界だけではないだろう。

 記者(36)の取材手法もずいぶん変わった。会見やインタビューはリモートでのオンライン会議が主になり、実際に会わずに取材することも増えた。とはいえ、仕事が減ったわけではない。新型コロナの影響でニュースは多く、今回のようにデジタル向けの記事を書く機会も増えた。

 テレワークの時代に仕事の手法が激変する中、求められる能力は、どんなものなのか。生き抜くための「コツ」はあるのか。

 人材開発論が専門の中原淳立教大教授に取材しようとアポイントをお願いすると、「オンラインでやりましょう」とのお返事。ですよね。記者もITスキルを求められる時代。やはりテレワーク時代を生き抜くには、ITスキルが重要ですかね?

 「違います。別にいきなりプログラミングをするわけではないんですから。会社員がオンラインで打ち合わせするだけなら、『ITスキル』というほどのものは必要ありません。テレビ会議システムにつないで、せいぜい2クリックするぐらいじゃないですか」

 「なのに、打ち合わせを始めると毎回落ちちゃう人、なかなか会議に入れない人っていますよね。イヤホンを忘れたとか。これはITスキルではなく、意思の問題です」

 意思の問題……。最近、オンライン会見の録音方法がわからず同僚に聞いたら、「ググれよ」って言われてしまった。おっしゃる通り。たしかにネットで検索すれば使用方法はだいたい出てくる。企業の経営者や人事担当者と話すと、「テレワークの普及で、自分で判断して仕事を進められる人とそうでない人の差が大きくなった」(化学メーカー社長)という声も聞く。本当に差は広がっているのか。

 「いままで出社することで存在感を示していたり、明確な貢献ができていない人にとっては、厳しい時代です。だんだん会議に呼ばれない人も出てきています」

 「一方で、自分で判断して仕事を進められる人にはテレワークは追い風です。通勤の時間が省け、体力も温存できるので生産性は上がります。前からあった個人差を、コロナが白日の下にさらしたのです」

 確かに周囲には、今のテレワークの状況を心地よく感じる人もいれば、ストレスを感じる人もいる。この違いは、世代間の違いにも起因するのだという。

後半では、世代間のテレワークのとらえ方に触れながら、時代を生き抜く「コツ」を紹介します

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 「(仕事と家庭を両立させる…

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