もう偽物と呼ばせない 最新テク使うレプリカは4億画素

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編集委員・中村俊介
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 美術品のレプリカは偽物か――。デジタル技術の進歩で歴史的名画や工芸品の精巧な複製が可能になってきた。一方で、伝統の職人技による模造作業も続く。芸術作品や文化財を保存しつつ活用する流れが本格化し、複製品には単なるオリジナルの代替品を超えた価値が見いだされつつあるようだ。

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 脆弱(ぜいじゃく)な文化財は刻一刻と劣化する運命にある。だから、収蔵庫に大事に収められ、簡単に見られない場合も多い。他方、それらの積極的な活用が叫ばれる近年。一見矛盾した保存と公開を両立させる糸口が複製技術の進展だ。

 大日本印刷(DNP、東京)は、知恩院や大徳寺塔頭などの国宝や重要文化財に指定されている障壁画や屛風(びょうぶ)、掛け軸の複製を手がけてきた。デジタルデータを後世に残すと同時に、忠実な複製で広く楽しんでもらう。そのために限りなくオリジナルに近い高精細複製を開発し、「伝匠美(でんしょうび)」と名付けた。

 ふすま1枚分に4億画素。金箔(きんぱく)の素地に描かれた絢爛(けんらん)華麗な桃山美術の質感と味わいはインクで再現できないといい、本物の金箔を使う。培われたノウハウが、インクをはじく金への直接印刷を可能にした。和紙に金箔を貼るのは伝統工芸のプロ。アナログとデジタルの協業である。

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 「確かに複製は原本のオーラ…

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