菅氏と小池氏、コロナ禍の対立 「東京問題」に因縁の影

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岡村夏樹 軽部理人
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 新型コロナウイルス感染症が再び拡大するさなか、安倍政権の「番頭」と、1400万人を抱える東京都のトップが応酬を続けている。2人の争いはコロナ対策にも影を落とす。

 先に仕掛けたのは菅義偉官房長官だった。7月11日、出張先の北海道千歳市であった講演でこう述べた。

 「この問題は圧倒的に東京問題と言っても過言ではないほど東京中心の問題になっている。北海道は知事、市長もお見えでありますが、その連携によって大部分を封じ込めているんじゃないでしょうか」

 菅氏は北海道が自治体間の連携によって、感染を抑えられていることを挙げ、暗に東京都と特別区(23区)の連携の悪さをあてこすった。名指しすることはなかったが、批判の矛先が東京都のトップである小池百合子知事に向いているのは明らかだった。

 緊急事態宣言が出された春以降、菅氏は度々、都への批判を口にするようになった。

 「東京は、検査数もちゃんと把握できていないんだから、これでは議論にならない」。都では保健所からの新規感染者数の報告漏れや二重計上が続き、政府が求めた陽性率の公表に応じないこともあった。感染者増加で、保健所の人手が足りなくなったことが原因の一つだが、菅氏は「小池氏が23区と連携がとれていない」といらだちを口にしていた。

 北海道講演の前日の10日に、政府は観光振興策「Go To トラベル」について、8月中旬の実施予定を前倒しし、7月22日から行うことを表明したが、東京では再び感染者数が増え始めていた。7月2日以降、感染者はほぼ連日100人を超える。「この時期にキャンペーンを実施するのはおかしい」との批判が高まっていた。

 「Go To」は菅氏が主導した経済回復への目玉政策。感染者増加の責任は、万全の対策を講じない小池氏にある――。そうした菅氏の不満が「東京問題」発言につながった。

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 一方、小池氏はすぐに反撃に…

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