外貨建て保険、苦情が過去最多 預金感覚からトラブルに

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山下裕志 柴田秀並
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 2019年度の外貨建て保険の苦情が、前年比1割増の2822件と過去最高になった。生命保険協会が29日発表した。販売の伸びに伴ってトラブルも増えているが、「為替変動や元本割れのリスクを十分に知らされなかった」など高齢契約者らの苦情が絶えない。

 保険料を米ドルや豪ドルなど外貨建ての資産で運用する商品。契約数は12年度の約42万件から19年度に約361万件へ増えた。苦情も統計をとり始めた12年度から7年連続で増え、5倍近くに。協会によると、銀行などを通じて入る顧客が過半を占め、うち約3割が70歳以上。苦情は銀行などでの販売分で、保険会社の営業職員が直接売るケースは含まれていない。

 銀行を通じて入る人が多いため、預金と同じ感覚で加入してトラブルになるケースが目立つ。お金を受け取る際に契約時より円高が進んでいれば、外貨から円に換える際に目減りする。受け取るお金が払った保険料を下回ることもある。為替変動がなくても、解約時に一定額が引かれ、戻るお金が支払額より低くなることが多い。外貨に換える際の為替手数料負担が十分に説明されないこともある。

 外貨建て保険を巡る相談は国民生活センターにも多く寄せられ、19年度は646件と過去10年で最多。高齢者が多く、ほぼ半数は70歳以上だった。新型コロナウイルスに絡む相談も28日までに8件。南関東の30代女性は新型コロナの影響で収入が減り、一部を解約しようとしたところ元本割れに。「損失が出ると聞いていない」との声があった。

 低金利で貯蓄型の円建て保険が伸び悩み、高金利の外貨建てが人気を集めてきた。昨年以降は米国債の金利が下がり、魅力も薄れている。新型コロナも追い打ちをかけ、ある会社の商品は米ドル建てで3%だった実質利回りが0・5%台になった。協会によると、銀行など経由の19年度の新契約は前年より約3割少ない約56万件と3年ぶりに減った。

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