「息ができない」豪州でも つぶれた鼻、あざ残った遺体

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ケンプシー〈豪南東部〉=小暮哲夫
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 オーストラリアで、先住民(アボリジナルピープル)が警察の施設や刑務所にいる間に死亡するケースが目立ち、長年の論争になっている。遺族らは、差別を背景にした先住民へのひどい待遇が原因だと疑う。息子を亡くし、「正義」を訴えている母親を訪ねた。(ケンプシー〈豪南東部〉=小暮哲夫

刑務所のビデオに映っていたのは

 豪南東部の田舎町、ケンプシー。先住民の女性、リトナ・ダンゲイさん(60)に2015年の暮れ、突然の悲報が届いた。次男のデビッドさん(当時26)が、400キロ離れたシドニーの刑務所で亡くなったという知らせだった。

 「ただ、打ちのめされた」というリトナさんが見たのは、鼻がつぶれ、手足や背中にあざが残る遺体だった。直後に弁護士と刑務所を訪れ、説明を求めた。

 刑務所側が見せたビデオには、刑務官6人が独房にいたデビッドさんを床にうつぶせ状態で制圧後、手錠をかけて別の独房に移動させる様子が映っていた。移動後の独房では、ベッドの上にうつぶせに押さえ込まれ、看護師が鎮静剤を注射した。

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 「息ができない」。デビッド…

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