第8回広告業界の助っ人 コロナ禍での無力感超え、見えた役割

有料記事シビックテック

宮地ゆう グラフィック・福宮千秋
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シビックテック コロナに挑んだ3カ月⑧

 ITを使って社会的な課題の解決を目指す一般社団法人「コード・フォー・ジャパン(CfJ)」による新型コロナウイルス接触確認アプリが次第に形を見せ始めつつあった4月上旬。広告会社に勤めるコピーライターの男性(48)に、知り合いから連絡があった。「CfJがコピーライターを探している」という。

 男性はすぐに加わりたい、と返事をした。

 これまで、男性は広告業界では知られる仕事を数多くしてきた。しかし、コロナウイルスの感染拡大が世の中を覆うなかで、「表現の力」を生業とする自分の仕事に、無力感を覚え始めていたころだった。

 これほどの大きな問題が起きても、自分にできることは少ない。マスクを調達できるわけでもなく、まして、ウイルスの感染拡大を止めることもできない。

 「広告会社はアイデアの力だ、なんて言っているが、ひとたび災害が起きると、結局、何もできないじゃないか」。大きな自然災害が起きるたびに味わってきたやるせなさ。声がかかったのは、そんな感覚に再び襲われていたときだった。

 新型コロナウイルスの感染拡大で根底から生活が変わるなか、互いに知らず、年齢も職業も住む場所も違う人たちがネット上で協力し、自らの技術をコロナ対策に役立てようとする活動が広がった。ITを使い、社会課題を自ら解決していく活動「シビックテック」だ。共に取り組んだのは東京都と国レベルのプロジェクト。走り続けた彼らの3カ月を全10回で報告する。

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 CfJやアプリのことを会社…

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