集団感染「元気だった方が…」 特養職員が直面した怖さ

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 東京を中心に再び新型コロナウイルスの感染が拡大する中、高齢の利用者を支える介護の現場で緊張が高まっている。集団感染が起こった特別養護老人ホームで、介護にかかわった職員は、人手不足や見えないウイルスの「怖さ」を目の当たりにした。介護現場の崩壊を防ぐため、感染者が出た施設をバックアップする連携も始まっている。

「夜勤がいない すぐ来て」 防護服で介助に

 「お茶を飲みましょうか」

 7月初旬、東京都江東区の特養「あそか園」で、介護職員の男性(39)が利用者の男性に寄り添い、口にゼリー状の飲み物をスプーンで運んだ。

 顔が近づくのは避けられない。高齢者がせきをしたりむせたりすると、フェースシールドをつけていても、どきっとする。食事介助だけでなく、ベッドから車いすへの移乗、トイレや入浴介助でも、身体を密着させる。

 新型コロナの感染拡大で緊張は高まる。勤務中は1日何十回も手を洗い、消毒する。電車通勤で自身が感染しないよう、通勤用のリュックとスマートフォンは、アルコール消毒液をしみこませた布でふくのが日課だ。繁華街への外出も控えている。

 感染者を出したくない、という強い思いの原点は、集団感染が発生した施設での過酷な介護経験だ。

 あそか園と同じ社会福祉法人の特養「北砂ホーム」。利用者、職員の集団感染が起きたのは、4月のことだ。一時は感染者が出た2、3階の職員が全員自宅待機に。利用者約80人に対し、勤務できる職員はわずか6人に減ってしまった。

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 「夜勤がいないからすぐ来て…

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