医院も浸水、白衣と長靴で地区を診る 一緒に「頑張る」

有料記事九州豪雨

渡辺七海 棚橋咲月
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 熊本県南部を中心とした豪雨災害では、県内の医療機関30施設が浸水した。いまだ診療を再開できない施設もあり、設備や機能が限られる中、地域医療を守る取り組みが続いている。

 甚大な浸水被害に見舞われた熊本県八代市坂本地区。旧坂本村の頃から続く2医院が浸水した。

 その一つ、峯苫(みねとま)医院の内科医、峯苫ゆき子さん(53)は今月中旬、白衣に長靴姿で、地区に住む患者の谷松明美さん(64)宅を訪ねた。血圧を測り、聴診器で胸の音を聞く。「困ったことがあったら言ってね」。谷松さんは左半身が不自由で遠出しづらく、被災後は病院に行くことが難しい。「来てくれて安心した」と笑顔を見せた。

 峯苫さんは、その後も地区内を回り、片付けをする人を見つけるたび「薬は飲んどると?」と声をかけ、その場で診察した。

 医院は峯苫さんの義父が約70年前に始め、地域に根ざした診療をめざしてきた。4日未明、そばを流れる球磨川が氾濫(はんらん)し、医院は2階床下まで浸水。診療室やレントゲン室は使えなくなり、電子カルテも失った。入院患者17人は転院を余儀なくされた。

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