英中関係は極寒時代へ? 香港関連の旅券をめぐり火花

有料記事

ロンドン=下司佳代子 広州=奥寺淳 北京=冨名腰隆
[PR]

 香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」をめぐり、中国と英国の関係が悪化している。香港返還前に生まれた英国海外市民(BNO)らに移住への道を開く旧宗主国・英国に対し、中国は対抗措置を検討する。影響が経済分野にも及び始めている。

 中国外務省の汪文斌副報道局長は23日の定例会見で、英政府の判断について「中国内政への干渉だ。BNO旅券を有効なものとして認めないことを検討している」と対抗措置を取ることを示唆した。香港政府も同日、「全面的に協力する」との声明を出した。

英国海外市民(BNO)

英国海外市民(BNO) 香港返還に対応するため英国が1986年に設定した身分。返還前の97年6月30日までに生まれた香港市民が対象で、英国居住権はないが海外で英国の領事保護が受けられる。現在、英国政府が発行するBNO旅券の保持者は約35万人おり、ほかに約250万人が取得条件を満たすとされる。

 英政府が今回打ち出した措置は、BNO旅券保持者の英国滞在期間を6カ月から5年に延長し、就労や就学も認めたうえで、定住や英国市民権の申請もできるようにする内容だ。5年有効の特別ビザの制度を新設し、BNOの資格を満たす人であれば旅券の有無にかかわらず、扶養家族を含めて来年1月から申請を受け付けるとしている。

 中国側はこれまで、BNO旅券による出入国は認めてきた。現時点では英国の措置を非難しつつも、今後の具体的対応を明らかにしていない。

ここから続き

 これに対し、BNO旅券を持…

この記事は有料記事です。残り967文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら