第5回「接触確認アプリ」の開発 ある医師がメールで提案

有料記事シビックテック

宮地ゆう グラフィック・福宮千秋
[PR]

シビックテック コロナに挑んだ3カ月⑤

 3月21日。東京都新型コロナウイルスの感染者数は前日より11人多い129人。感染は都市部だけでなく全国に広がり、国内の感染者総数は1727人になった。

 この日、ITを使って社会の課題を解決することを目的にした一般社団法人「コード・フォー・ジャパン(CfJ)」に、一通のメールが届いた。これが、新たな挑戦の始まりになった。

 「初めてご連絡さしあげます」。そう始まるメールは、こう続いていた。

 「韓国、シンガポールは(中略)、コロナ追跡アプリを製作し解析を行っているのに対し、日本はまだアプリ開発がなされておらず、感染者の追跡は保健所の方々が1人1人に対し行っているような状況です」

 これでは、現場の負担がどんどん増すばかりだ。保健所の人は医者よりも疲弊しているかもしれない。個人情報の問題などもあるが、アプリ開発に動く予定はないだろうか。メールはそう訴え、こう締めくくっていた。「社会には、とてつもなく必要な要素に見えるのですが、どう動いたらいいか分からず、ご連絡致しました」

 新型コロナウイルスの感染拡大で根底から生活が変わるなか、互いに知らず、年齢も職業も住む場所も違う人たちがネット上で協力し、自らの技術をコロナ対策に役立てようとする活動が広がった。ITを使い、社会課題を自ら解決していく活動「シビックテック」だ。共に取り組んだのは東京都と国レベルのプロジェクト。走り続けた彼らの3カ月を全10回で報告する。

ここから続き

 差出人は、都内の病院に勤務…

この記事は有料記事です。残り996文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら