アタッシェケース型のコロナ検査機、神奈川県が共同開発

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茂木克信
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 新型コロナウイルスの感染の有無を1時間ほどで判定できるとして、黒岩祐治神奈川県知事が、県内で開発されたアタッシェケース型の検査機器の普及に努めている。仮に100セットが県内に供給されれば、検査能力は今の約10倍へと飛躍的に向上するという。ただ、使う側の病院の反応は今のところ鈍い。

 県によると、この機器は、県衛生研究所と国立研究開発法人理化学研究所が共同開発し、今年2月に発表した新型コロナの検出方法を使っている。スマートアンプ法を利用するなどして迅速に検出できる、としている。

 検体に新型コロナのウイルスが存在するか否かを判定するPCR検査は、リアルタイムPCR法(PCR法)が一般的だ。だが、他にもスマートアンプ法やLAMP(ランプ)法がある。

 スマートアンプ法は、PCR法と比べて、検査の後半にウイルスのRNA(リボ核酸)を増幅する時間が短いという強みがある。黒岩知事が推すこの機器ではさらに、検査前半のRNA抽出にかかる時間も短縮した。その結果、検査全体が1時間ほどで終わる。一般的なPCR法の4分の1程度という。

 また、採取した検体はすぐにウイルス溶解液に入れて、ウイルスを死滅させる。そのため、通常の検査室で防護服などを着けずに安全に使える。検査の感度はPCR法と同等。アタッシェケース二つで、機器1セットとなる。クラスター(感染者集団)が発生した施設に持ち込み、その場で検査するなど機動性にも優れているという。

 一度に24検体を検査できるので、仮に1日5時間稼働させれば、1セットで120検体を判定できる。理化学研究所の研究成果を応用する理研ベンチャー「ダナフォーム」(横浜市鶴見区)が機器や試薬を生産していて、7月中に100セットを供給できるという。

 今月3日の臨時会見で、機器を紹介した黒岩知事は「100の医療機関が導入したら、新たに1日約1万2千検体の検査が可能になる。従来の約10倍の検査能力となる」とし、「いかに画期的な技術であるか、おわかりになったと思う」とアピールした。

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