東京都高野連に初の女性審判員 後輩のロールモデルに

野田枝里子
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 2020年夏季東西東京高校野球大会(都高校野球連盟主催、日本高野連、朝日新聞社後援)に、都高野連で初の女性審判員、佐藤加奈さん(33)が登場した。神宮球場で19日にあった東東京大会1回戦の九段―明大中野戦で球審を務め、試合後、「落ち着いてできました」と笑顔で振り返った。今大会はあと2試合で審判を務める予定だ。

 「ストラーィク」。特徴のあるコール。佐藤さんのよく通る高い声が、グラウンドに響いた。無観客、鳴り物の応援禁止のため、いつもより審判の声がグラウンドに通る。「最初は緊張しましたが、始まってからはいつも通りできました」

 大阪市出身。高校時代はバスケットボール部だったが、体育の先生を目指して進学した日体大で、人生が変わった。新しい挑戦がしたくて、女子軟式野球部に入部。元阪神の金本知憲さんのファンという理由で、同じ背番号「6」を付け、外野手を目指した。毎日遅くまで練習をして、大学生活は野球に捧げた。

 卒業後は大阪に戻って中学校の先生となり、野球部の顧問を任された。審判を始めたのは2012年から。指導の幅を広げたくて、取り組み始めたのがきっかけだった。最初は嫌々だったが、どんどん楽しくなっていった。

 それからというもの、プロ野球も「審判」メインで見るようになった。判定のコールのタイミングや、ジェスチャーの角度、際どいプレーの判定をユーチューブなどで見て研究した。鏡でポーズの練習をするのも忘れない。「大人になった今でも勉強できる。上達していくのが目に見えるし、常に向上心をもってできるのがいい」

 阪神大学野球のリーグ戦で実績を重ね、18年には夏の大阪大会で高校野球の審判としてデビュー。国際大会も経験し、国際審判員のライセンスも取得した。結婚を機に大阪を離れ、希望して今年から都高野連審判部の所属になった。

 この世界で、女性はまだ少ない。「女性だからと、見られる。自分が出ることで、女性でもできるんだというところを見せたい」。自分がグラウンドに立ち続けることで、審判を目指す後輩たちに道を示せると思っている。(野田枝里子)

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