「コロナに救われてる」民政復帰1年のタイ、経済に課題

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バンコク=貝瀬秋彦
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 タイが5年ぶりに民政に復帰し、新政権が発足して1年がたった。軍事政権のトップだったプラユット首相が率いる政権は強権的な体質と経済の停滞で批判を浴びてきたが、新型コロナウイルス対策を巧みに利用して抑え込み、持ちこたえてきた。だが、大きく落ち込んだ経済への対応を誤れば、国民の不満が噴き出しかねない。

 7月上旬。16日の政権発足1年を前にプラユット氏は大手メディアを行脚し、今後の国のかじ取りをめぐって幹部らと意見を交わした。メディア嫌いとされるプラユット氏の今回の行動の背景には、「今後の政権運営への危機感がある」と地元記者はみる。

 陸軍司令官として2014年の軍事クーデターを主導し、軍政のトップに座ったプラユット氏は、民政移管に向けた昨年3月の総選挙を経て、親軍政党などに支えられて首相に就いた。だが、軍政時代に引き続いて陸軍司令官経験者らを主要閣僚に起用し、「軍政の継続」と批判された。

 今年2月には、政権批判の急先鋒(きゅうせんぽう)だった野党第2党の「新未来党」の解党を憲法裁判所が命令。憲法裁は軍を後ろ盾とする現政権や保守派の影響下にあるとされ、政権側の意をくんだ判断とみられている。

 これに対し、学生らを中心とする抗議集会が全国各地に拡大。経済の停滞とあいまって、反政権の機運がさらに盛り上がる余地があった。

 コロナの感染拡大が始まったのはそのころだ。政権は3月末に全土に非常事態を宣言。大規模な集会はできなくなり、夜間の外出も禁止された。娯楽施設やショッピングモールの閉鎖など、経済活動にも厳しい規制をかけた結果、感染拡大の抑え込みには成功し、政権のコロナ対策は一定の評価を得た。

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 政権はコロナ対策を逆手に取…

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