「爆買い」復活したけど… コロナ後、中国経済の影

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三亜=福田直之
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 新型コロナウイルスが最初に流行した中国は、4~6月期の経済成長率が他の主要国に先駆けてプラスに転じた。ただ、徹底した感染対策で生じた失業や減収という傷は深い。生産の回復が力強い一方、中国経済の要となる消費の回復はまだら模様で、格差の拡大も懸念される。

iPhoneにアルマーニ、爆買い復活

 中国名物だった「爆買い」の復活が始まった。

 南部の海南島にある免税店では7月1日から、電子製品や酒類の輸入関税などが免除され、既存の免税対象枠も年10万元(約150万円)に拡大した。国中で新型コロナの感染が下火となり、控えられてきた富裕層の旅行需要が爆発。高級ホテルは満室で島は買い物客でごった返している。

 12日、海棠湾の免税店を訪れると、米アップルスマートフォン「iPhone11 Pro」は公式店より2割ほど安く売っていた。地元紙・海南日報によると、免税店の販売価格は日本や香港、シンガポールなどの販売価格より10~20%安いという。

 江蘇省南京市から来た化粧品販売員の韓秀さん(32)は「バーバリーのシャツ2枚とアルマーニのズボンを買った。大体1万元(約15万円)」。新型コロナは「収入に影響しなかった」という。広東省深圳市から来た金融機関で働く男性(27)は「友人から頼まれたものの代理購入で2万元、自分用に5千~6千元は使った」と話す。

 税関総署によると、海南島での1~7日の免税品の購入者はのべ6・5万人となり、免税対象の販売総額は4・5億元、免税額は6571万元に及んだ。化粧品、香水、首飾りの順に売れた。

 ネット通販も沸いている。6月1~18日のネットセールで、ネット通販大手京東集団(JDドットコム)の中国全土の流通総額は、前年同期比34%増の2692億元(約4兆円)と過去最高を更新した。

 中継動画で商品を説明し、質問も受け付けられる「ライブコマース」が奏功し、コロナ後の消費の起爆剤になった。山東省青島市に住む貿易業の男性(45)は1万1600元分を買った。この男性も「コロナの仕事への影響は少なかった」と話す。

旺盛な消費、裏に潜む「格差」

 旺盛な消費が戻りつつある中国経済ですが、それは一面でしかありません。コロナの影響で失業する人も出るなど雇用不安が生じています。雇用をめぐる中国政府の対策などについて、この後の記事でお伝えします。

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 公務員や教師、金融関係者な…

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