不妊治療に550万円超、「不妊離職」も 重すぎる負担

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及川綾子
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 体外受精顕微授精といった高度な不妊治療は、公的医療保険が適用されず、重い費用負担が長年の課題です。政府は今年度、医療保険の適用について検討するため、約20年ぶりに患者負担の実態調査を行うことを決めました。当事者たちは併せて治療の質の向上や就労環境の改善につなげたいと願っています。

 不妊治療では一般的に、医師が推定した排卵日付近に性交する「タイミング法」、動きのよい精子を子宮内に入れる「人工授精」、精子と、卵子を体外にとりだし(採卵)受精させて子宮に移植する「体外受精」、「顕微授精」と進む。人工授精と、特定不妊治療と呼ばれる体外受精と顕微授精は、保険の適用外だ。特定不妊治療への行政の助成制度はあるものの、当事者は「足りない」と訴える。

 不妊に悩む人を支えるNPO法人「Fine(ファイン)」が2018年度に実施した調査によると、通院開始からの治療費の総額が100万円以上の割合は56%に上った。

保険適用検討へ国が実態調査

 8月に出産を控える都内の女性会社員(36)は、31歳から不妊治療のクリニックに通い始めた。三つのクリニックを転院し、人工授精12回、体外受精で採卵を7回行った。総額は5年で550万円を超え、半分以上が採卵にかかった費用だという。助成制度には所得制限があり、女性は対象外だったため、全額貯金などから支払った。

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 500万円までは続けようと…

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