新型コロナウイルス対策として、政府は通常国会で2度にわたり、総額57兆円超にのぼる未曽有の規模の補正予算を編成した。「100年に1度」の危機に対応するためとされるが、財源は借金である国債の発行でまかなっている。いつかは返さなければならないお金だ。ポストコロナの「負担」にはどう向き合っていけばいいのか。財政学者の吉川洋・立正大学学長に聞いた。(聞き手・小泉浩樹)
吉川洋氏略歴
よしかわ・ひろし 東京都出身。1951年生まれ。74年東京大卒、78年米エール大院博士課程修了。東大教授を経て2019年から現職。10年から17年まで財務省の財政制度等審議会の会長を務めた。
底抜けの赤字で迫られた財政出動
まだ現在進行形ですが、今回の景気の落ち込みは戦後最悪と言っていいと思います。したがって財政出動は不可避です。財政規律に厳しいドイツですら財政出動をした。2回の補正予算を編成した政府の方向性は間違っていません。
ただ、今回みたいなことがあるから平時に財政再建に努めるべきなのに、日本は財政再建を進めないままコロナ禍に直面してしまいました。
第2次補正予算では30兆円のうち10兆円を予備費として計上しました。財政民主主義では、血税の使用目的は国会で審議をして決める。それが正しい姿です。予備費は、不測の事態に備える調整弁と常識的には考えられます。コロナ対応は予測が難しいとはいえ、どういうことをやるのかをもう少し議論しておくべきだったと思います。
繰り返しになりますが、コロ…
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