ごはんラボ チンゲンサイのじゃこ炒め
「うまみの素材」シリーズの最終回は「チンゲンサイのじゃこ炒め」です。小魚の持つうまみで、シンプルな塩炒めがぐんと深い味わいになります。
ちりめんじゃこの原料はイワシ類の稚魚で、大きさや乾燥具合は様々。今回は食べた時に野菜となじむ、2cmほどのサイズでしっとり感の残るものを使いました。料理監修の吉田勝彦さんは「中国料理の炒め物に、うまみの強い素材を『味だし』にする手法があり、じゃこのほか日本の干しエビも使えます」。
チンゲンサイを炒めるコツは二つあります。茎と葉で火の通り方が違うので時間差で鍋に入れること。そして水を上手に使うこと。油で炒めるのに不思議な感じですが、熱い鍋に水気のある青菜を入れると一気に蒸気がたって、短時間でシャキッと仕上がります。
もうひと品の「じゃこ餅」は中国の屋台料理がヒントの小さなお好み焼きです。ネギ、じゃこ、ゴマ油の相性の良さを楽しめます。(編集委員・長沢美津子)
チンゲンサイのじゃこ炒め
材料(2人前) 料理監修:吉田勝彦(中国家庭料理ジーテン)
□ チンゲンサイ 2株
□ ちりめんじゃこ 大さじ4(15g)
□ ニンニク 1片
□ 酒 大さじ2
□ 水 大さじ2
□ 塩 小さじ1/2強
□ サラダ油 大さじ1
【作り方】
①チンゲンサイは葉と茎に切り分ける。葉は長さ5cmほどに切り、茎は縦に6等分してそれぞれ水に漬ける。茎の根元に土が入っていたら竹串の先でかきだす。ニンニクは芯を取って薄切りにする。
②フライパンにサラダ油を入れて火をつける。ニンニクを入れて弱火で香りが出るまで十分に加熱する。チンゲンサイの茎を水を切らずに入れる。強火にして油をからめるように混ぜたら、酒、水を加える。
③ちりめんじゃこを加える。水分を吸わせるように混ぜる。汁の味をみて塩を加えて調整する。
④全開の強火にして葉を加える。混ぜてしんなりしたら出来上がり。
※1人前約95kcal、塩分2.1g
(栄養計算:女子栄養大学 栄養クリニック)
アレンジ じゃこ餅
長ネギ2cmをみじん切り、小ネギ2本を小口切りにする。ボウルに卵1個を溶き、塩ひとつまみと小麦粉(強力粉を使うと生地に弾力がでる)大さじ1を加えてよく混ぜ、ちりめんじゃこ大さじ2(10g)、ネギ2種、ゴマ油小さじ1を加えて混ぜる。フライパンでサラダ油小さじ1を弱火で温める。生地を半量ずつさじで落として2枚を丸く広げる。固まったら上下を返す。香ばしさが出るように、へらで軽く押して鍋肌に密着させながら、何度か返して全体に焼き色をつける。
Cookery Science
鮮度がいい魚が含むうま味成分のイノシン酸は、体内の酵素で分解されてなくなっていく。ちりめんじゃこはゆでる(加熱する)ことで酵素の働きをとめ、イノシン酸の量を保ち、その後の乾燥によって濃縮させる。干しエビなどもゆでてから乾燥させ、うま味成分を濃縮する。
Topic しらす干しとちりめんじゃこ
地域性もあるが、一般には塩ゆで後の乾燥の工程で、水分を70%ほど残して仕上げるのがしらす干し、水分50%まで乾燥させるとちりめんじゃこと区別することが多い。ちりめんじゃこの中でも大きなものを「かえり」と呼ぶこともある。また「釜揚げしらす」は、ゆであげた状態で乾燥させず商品化したものだ。
サイズは魚の成長の違いで、小さいとあっさり軟らかく、大きくなるにつれ骨や内臓ができて味わいが濃くなる。水分が多いと冷蔵庫でも数日しか日持ちしないので、小分けして冷凍するなど工夫して保存する。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら