引き離しても終わらない 親から性暴力、児相のジレンマ

有料記事子どもへの性暴力

編集委員・大久保真紀 林幹益 板倉大地
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 子どもたちの心身とその後の人生を脅かす性暴力について考える企画「子どもへの性暴力」の第2部は、家庭内での性暴力について取り上げます。全8回です。5回目は、子どもを守るためにはどうすればいいのか、児童相談所が抱える課題を考えます。

 家庭内での性暴力は、事実確認が難しく、加害者でない親(非加害親)の協力が得にくいなど、児童相談所(児相)は対応に苦慮している。

 昨年5月、青森地裁八戸支部で、長女に対する準強姦(ごうかん)罪などの罪に問われた50代の父親に懲役6年の判決が言い渡された。判決や冒頭陳述などによると、長女は13歳のころ、暴力を受けたとして児相に一時保護されたが、父親が児相に暴力を振るわないと約束、長女は約1カ月後に帰宅した。

 しかし、1週間もしないうちに父親から今度は性暴力を受けた。長女は中学校の先生に相談して再び一時保護されたが、約1カ月後にはまた帰宅となり、その後、数年間にわたり繰り返し性暴力を受けたという。

 発覚したのは、長女が21歳になった一昨年暮れ。弟への父親の暴力を止めようとしたところ、顔を殴られるなどして110番通報したのがきっかけだ。担当した児相は「個別のケースについて答えられない」としている。

子どものころに家庭内で受けた性暴力は、信頼する身近な人からの被害だけに特に心身に深い傷を刻み込むと言われています。この連載では、その実情とともに、予防や対策には何が必要なのかを考えます。もし性被害にあったらだれかに話して、助けを求めることも大切です。

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