コロナウイルスの感染拡大で、世界は大きく変わろうとしています。政治、医療、経済……。様々なジャンルで舞台裏を追う連載「コロナの時代」。今回は、首相官邸がこの半年間、どう動いたかを追う全6回のシリーズ「官邸 非常事態」です。連載2回目は、コロナを軽視した結果生じた政権内の変化に迫ります。
「慢心があった」 政府官邸の楽観論
1月16日、新型コロナウイルスの初めての感染者が国内で確認されたと公表される。安倍晋三首相はその4日後の20日に国会で施政方針演説に臨んだ。「令和の新しい時代をともに切り開いていこうではありませんか」と約40分にわたって演説した首相だったが、「コロナ」という言葉を口にすることは一度もなかった。
政府が当初、新型コロナを軽く見ていたことは否定できない。「油断というか、慢心があった」。官邸幹部はそう振り返る。当時、複数の政権幹部が取材に対し、「インフルエンザと同じだから、大したことはない」と口をそろえた。
その傾向は国会審議でも見られた。世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を出した1月31日の参院予算委員会。新型コロナを感染症法の「指定感染症」に指定した政府に対し、国民民主党の矢田稚子議員は、より強い措置が講じられる「新感染症」への指定を求めた。が、加藤勝信厚生労働相はこう答弁した。「蔓延(まんえん)により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの。まあ、それ以外も書いてありますが、それには現時点では該当しない」
厚労省は「未知のウイルスではないから、新感染症にはあたらない」と早々に結論づけた。1月時点では、緊急事態宣言を発することも想定していなかった。
政府の見通し覆す集団感染 「大変なことに」
しかし、政府の楽観論を一隻の船が打ち砕く。乗客に感染者が確認された後、横浜港に停泊していた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の船内で集団感染が発生したのだ。
コロナを軽くみていた官邸は、ダイヤモンド・プリンセスへの対応をめぐり、内外から批判を浴びます。それは政権内のパワーバランスの変化をも、もたらしました。
2月4日午後10時ごろ。東…
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