「2030年までの飢餓ゼロ」達成困難に コロナが拍車

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半田尚子
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 世界で飢えに苦しむ人が2019年は約6億9千万人にのぼり、5年連続で増加したことが、国連機関がまとめた報告書で明らかになった。国連が地球規模の課題解決に向けて、採択した17分野の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、「30年までの飢餓ゼロ」の達成が危ぶまれている。新型コロナウイルスの感染拡大などが飢餓人口の増加に拍車をかけているためだ。 報告書は国連食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)などの5機関が「世界の食料安全保障と栄養の現状」にまとめ、13日に発表した。

 飢餓人口とは、価格の高騰などで食料を入手できず、慢性的栄養不足に陥っている人々を指す。19年の飢餓人口の最多はアジア(約3億8100万人)で、アフリカ(約2億5千万人)、中南米(約4800万人)が続いた。

 気候変動が引き起こす異常気象や紛争に加え、新型コロナの世界的な蔓延(まんえん)が食料状況の悪化を加速している。供給については、20年の小麦や米などの主要作物の生産量は平均を上回る見通しだが、各国のロックダウン措置に伴う食料の生産・流通への影響や世界経済の停滞で、新たに約1億3千万人が急性の飢餓状態に陥る可能性がある。東アフリカや南アジア諸国で食料を食い荒らすサバクトビバッタの被害の拡大も懸念される。

 SDGsが掲げる30年までの「飢餓ゼロ」の達成にも暗雲が漂う。新型コロナの影響を差し引いても、対策を怠れば、30年までに飢餓人口は約8億4千万人を超えるとの見通しだ。報告書では「我々の努力は次の10年で目標を達成できるレベルでは到底ない」とし、各機関が警鐘を鳴らしている。

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 報告書は、世界の食料事情と…

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