「このレズビアンめ」ポーランド、争点にされたLGBT

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ワルシャワ=野島淳
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 東欧ポーランドで、政権による性的少数者(LGBTなど)への抑圧的な姿勢が物議を醸している。大統領はLGBTを「イデオロギーだ」と敵視。性的少数者の人たちは「生きづらさ」を訴えている。12日に決選投票があった大統領選でも、一つの争点になった。(ワルシャワ=野島淳

 「私たちは人間だ。イデオロギーではない」

 南部クラクフの旧市街で6月21日、虹色の旗を掲げた数十人の若者が声を上げた。若者たちの視線の先には、アンジェイ・ドゥダ大統領(48)が演説に立っていた。

 だが、「ドゥダ頑張れ」という圧倒的多数の支持者の前に、訴えはかき消された。ドゥダ氏は以前の演説で、過去の民主化運動共産主義のイデオロギーとの闘いだったと指摘。今では「LGBTのイデオロギーが子どもに押しつけられようとしている」と述べ、性的少数者の権利向上に向けた運動が共産主義と並ぶ脅威だと主張していた。

 ポーランドはキリスト教・カトリックの信仰が根強く、男女の家族形態が大切だと思う人は多い。ある世論調査では、6割以上が同性婚に反対した。

 2015年に政権を握った与党「法と正義」(PiS)は伝統的な家族のあり方が国を守ると訴え、性的少数者に否定的な態度を取ってきた。

 PiSから推されるドゥダ氏は今回の選挙に際し、子どもを持つ家庭への金銭的な支援などと並び、性的少数者の問題を採り上げた。性的指向などの考えについて子どもに教えるかは家庭の問題だとして、学校など公的機関で教えるのを禁止する文書に署名したほか、同性カップルが子どもを養子にできないよう憲法を改正したいとも主張した。

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 対する野党候補者でワルシャ…

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