「被告のみ責められない」 介護の義母殺害で猶予判決

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小川崇 小西正人
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 愛知県蒲郡市の民家で昨年7月、介護に疲れて義母(当時96)を殺害したとして、殺人罪に問われた無職大塚文子(ふみこ)被告(71)=同市=に対する裁判員裁判の判決が10日、名古屋地裁岡崎支部であった。石井寛裁判長は「周囲から十分な援助が得られず、精神的に追い込まれた」とし、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役6年)を言い渡した。

 判決によると、大塚被告は、昨年7月6日午後11時半から翌7日午前5時ごろの間、義母の大塚キヨ子さんの首をひもで絞めて殺害した。

 大塚被告はキヨ子さんと、キヨ子さんの長男にあたる夫と3人で生活。以前から介護をしていたが、昨年5月にキヨ子さんが転倒して歩行困難になると、排泄(はいせつ)などの介護負担が増加。ショートステイの利用はキヨ子さんが帯状疱疹(ほうしん)になり見合わせた。不眠の症状も出て、このままだと介護を続けられないと不安を募らせていた。

 量刑の理由では、「親族と介護を分担せず、介護サービスも十分活用しないまま家族に迷惑をかけたくないという動機から犯行を実行したことは非難されるべきだ」と指摘。一方、親族や夫に助けを求めていたことも認め、「負担軽減策を十分に講じなかったことについて、被告のみを責めることはできない」として、執行猶予が相当とした。

義母を殺害するまで、夫や義理の妹からの手助けはなく、被告は次第に追い込まれていきました。介護疲れから起きたこの事件、専門家は「どの家族にも起こりうる」と指摘します。

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 介護疲れで義母を殺害したと…

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