「いい声」引き出す音の職人 原点はレコーディング現場

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藤えりか
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凄腕しごとにん

ボイストレーナー 藤森淳一さん(56)

 7月上旬の午前中。川崎市内の集会場で、中高年の女性たちが、間隔を空けて前傾気味の姿勢で立ち並んだ。「大きく吸って、体の中に空気をいっぱい入れて。おなかを動かしながら、大きく吐き出して」。テンポよく指示を投げかけると、「はっはっはっはっ」「まみむめもまみむめも」と、女性たちの声が響き渡る。新型コロナウイルス対策で、めいめいが着けるフェースシールドの下に、汗がにじんでゆく。

 呼吸や発声の仕方を教えるボイストレーナーとして20年間、歌手や役者、教員、弁護士、会社員、経営者など3千人以上を教えてきた。俳優の宇津井健さんも生徒だった。川崎市では、認知症予防や健康維持のためのレッスンを2006年から続けている。「胸で吸う胸式呼吸だと、声を出しづらい。大きく息を吐ける腹式呼吸を身につければ、伝わり方も違ってきますよ」

 原点は、ミュージシャンの楽曲の収録や音の調整を手がける、レコーディングエンジニアとしての四半世紀近くの経験だ。歌手出身者が多いボイストレーナーの世界では異色の存在だが、そのぶん「音の職人」として、声を客観的に聴いて「一番いいところを引き出す」指導が持ち味だ。

 音には、10代から常にかかわってきた。

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