戦後初の日本の翼「YS11」 組み立て作業を公開へ

吉井亨
【動画】戦後初の国産民間輸送機「YS11」(量産1号機)の組み立て作業=竹谷俊之、樫山晃生撮影
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 戦後初の国産民間輸送機YS11の量産1号機の組み立て作業が11日から茨城県筑西市のテーマパーク「ザ・ヒロサワ・シティ」で一般公開される。組み立て作業は年末まで続き、完成は来春の見通し。

 YS11は敗戦で航空機開発を7年間禁止された日本政府が1950年代から国策として手がけたプロペラ機。機体は国立科学博物館(東京・上野)が所有し、羽田空港の格納庫で20年ほど保管されていたが、維持・管理に年間約1千万円かかり、保管先を探すことに。そこに新幹線の車両などを展示するテーマパークが名乗りを上げた。

 機体はいったん解体した上で、3月27日に移された。解体と組み立てに際し科博が整備士を探し、YS11の運航に関わった元整備士ら約30人が集まった。30年以上、機体の整備に携わった井坂富夫さん(76)は「自分と一緒に歩いてきた機体。もう関わることはないと思っていたが、懐かしい」と話す。

 組み立て作業の公開は26日まで。無料で、見学時間は午前10時~午後3時。科博の産業技術史資料情報センター(茨城県つくば市)の鈴木一義センター長は「戦後日本の技術の粋を集めた飛行機で、貴重な機会」としている。

 コロナ禍で科博の入館料収入が激減し、組み立てに必要な約8千万円の費用のうち、3千万円を目標にクラウドファンディング(CF)で11月6日まで資金を募る。出資者には、機内見学ツアーへの参加権や、機内に名前を残す権利が与えられる。詳細は朝日新聞社のCFサイト「A―port」(https://a-port.asahi.com/別ウインドウで開きます)で。(吉井亨)

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