都心のミニスーパー続々 「難民」需要、コンビニと競う

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中島嘉克
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 食品や日用品がそろい、主に住宅街や郊外に店を構えてきたスーパーマーケット。私たちの生活に欠かせない存在だ。そんなスーパーで最近目立つのが、都心部にあるミニ店舗。業界大手がこぞって新店を出している。そして、都心に多かったコンビニエンスストアも食品の品ぞろえを増やし、「ミニスーパー化」が進む。その背景には一体何があるのか。

 東京メトロ新宿御苑前駅から徒歩5分。6月にオープンした「ヨークフーズ新宿富久(とみひさ)店」に入ると、すぐに弁当や総菜、ベーカリーの売り場とセルフレジが目に入ってくる。客の多くは近くのオフィスに勤める人々だ。「都市型店として、ランチ需要の高さを意識した店内レイアウトにしている」(担当者)

 自宅で食事をつくる都市生活者のニーズにも合わせ、生鮮品や調味料ももちろん用意。やや高価格の商品も含め、郊外店より幅広い品ぞろえが特徴だ。

 運営する「ヨーク」は、コンビニのセブン―イレブンやスーパーのイトーヨーカドーを展開するセブン&アイ・ホールディングスのグループ企業。セブン&アイが6月、食品スーパー事業を強化するために設立した。

 セブン&アイはコンビニに強みを持つ一方、伝統的な総合スーパーは日用品や衣料品が不振で業績が低迷していた。そこで強化することにしたのが、安定した需要が見込める食品スーパーだ。セブン&アイではここ数年、首都圏で食品スーパーを増やせていない課題があった。「ニーズを満たす店舗の形を見いだせていなかった」とセブン&アイの石橋誠一郎常務は指摘する。

 ヨークでは、従来のヨーカドー食品館の店を改装したり新店を出したりしながら、郊外向けの「標準店」、都市向けの「小型店」、安売り店を意識した「ディスカウントストア対抗型」をそろえる。都市部では、駅近にも小型店を出していく予定だ。

 スーパーの都市部強化の先駆け的存在が、イオンの「まいばすけっと」だ。2005年に1号店を出し、コンビニほどの広さでスーパーと同様の生鮮品が並ぶ。単身や共働き、高齢者世帯のニーズに対応するため、簡単に調理できる食品や容量が小さめの商品に力を入れている。東京と神奈川の都市部に出店を絞り、今年6月時点で約880店。将来的には2千店の展開をめざしている。

 なぜ都市で食品スーパーの出店を進めるのか。そこには、生活様式の変化も大きく影響している。

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