4日に熊本県で大きな被害を出した集中豪雨は「早めの避難」の難しさを浮き彫りにしました。早く状況をつかみ、行動につなげるにはどう情報を使えばいいのでしょうか。遠方の家族でも、できることがあります。(松本紗知、中井なつみ、栗田優美)

拡大する写真・図版家が水につかり屋根の上で救助される人たち=4日、熊本県人吉市、朝日新聞社ヘリから、吉本美奈子撮影

「『これまで大丈夫だった』は捨てて」

 「雨が強まってから災害発生までがあまりにも短く、予測はとても難しい状況だったと思う」。危機管理教育研究所代表の国崎信江さんは4日の水害についてこう話す。ただ「温暖化の影響もあり、梅雨は長雨がしとしと続くというものではなくなった。『これまで大丈夫だった』という認識を捨て、いつでもどこでも起こりうるという危機感を広めることが重要」と強調する。

 日頃の備えと、早く正確な情報を行動に役立てることが被害を減らす。自治体などの情報を確実に受け取り、気付ける方法を確保しておく必要がある。

 危険度をわかりやすく伝えるために国は、気象データに基づく危険情報と、自治体が出す避難情報を、5段階の警戒レベルに分けて示す運用を昨年から始めている。レベル2=災害想定区域や避難場所を確かめる▽レベル3=高齢者などの避難開始▽レベル4=全員避難▽レベル5=災害が既に発生している可能性が極めて高い、と分けた。

 しかし4日の水害でレベル3にあたる大雨や洪水の警報が出たのは夜になってからだ。国崎さんは「避難する側、受け入れる側の双方に早めの行動が求められる。雨が強いだけでも避難に値すると認識してほしい」と指摘する。

拡大する写真・図版5段階の警戒レベル

 事前に登録しておくと、防災情報をメールで知らせる自治体も増えている。自分が登録した場所に防災情報が出たら通知されるスマートフォンのアプリも。例えば「Yahoo!防災速報」は、避難情報や大雨危険度など知りたい情報と場所を登録しておくと、情報が出た時に通知が届く。3カ所まで登録でき、メールでも受け取れる。

 国土交通省の防災ポータルサイト「川の防災情報」は、雨の降っている地域、川の水位情報、河川カメラなどを見ることができる。情報が刻々と更新され、どれくらい危険が迫っているかが分かりやすい。

拡大する写真・図版国土交通省の「川の防災情報」のトップページ

 東急系のケーブルテレビ「イッツ・コミュニケーションズ」は2015年、連携した自治体に住む人が家庭用のテレビに専用の機器を付けると、自治体の情報発信に合わせて自動でテレビがつき、画面と音声で情報を流すサービス「テレビ・プッシュ」を始めた。これまでに東京、静岡、福岡などの52の市区町と連携している。

 国崎さんは「こうしたシステムを取り入れて情報をすばやく受け取り、動くことが重要だ」と話す。

情報より家族や近所の声かけが有効

 ただ、避難情報が出ても、伝わ…

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