テラハは「花のメンタルより視聴率が大事」母が見た苦悩

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大野択生 守真弓
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 フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー木村花さん(当時22)が死去した問題で、母親の響子さん(43)が4日、朝日新聞の取材に応じた。花さんが番組スタッフから、撮影中に共演者をビンタするよう提案されたと聞いたと明かし、「本当のことを知ってもらって、花の名誉を回復してあげたい」と語った。

 「テラスハウス」は、シェアハウスで生活する男女6人の恋愛模様を観察する番組で、動画配信大手のネットフリックスでも昨年5月から配信されていた。花さんは同年10月に配信された回から登場していた。

 3月31日、共演者の男性が花さんのプロレスのコスチュームを共用の洗濯乾燥機にかけ破損し、花さんが男性に対して怒る場面(コスチューム事件)がある回が配信された。以降、SNSで花さんに対する匿名の中傷コメントが増えた。

 この日、花さんはSNSに自傷行為をしたとみられる画像を投稿。心配した響子さんが花さんにメールで連絡すると「炎上して申し訳なくなって切った」と返信があったという。

 響子さんは「無責任な人たちが安全な距離から石投げてるだけだから気に病むことはない」「自分にとって大事な人たちと 大事な人たちが大事に思う自分を絶対見失うな」と励まし、花さんからは「ありがとう」と返ってきた。しかし約2カ月後の5月23日、花さんはSNSに「弱い私でごめんなさい」とつづり、命を絶った。

「出演者と制作側は対等ではない」

 死の8日前、花さんはコスチューム事件の場面ではスタッフから、男性をビンタしてはどうかと持ちかけられ、悩んだ末に相手の帽子をはたいた経緯を車の中で響子さんに打ち明けた。撮影で涙が止まらず過呼吸気味になってもカメラを回され続けたことなども話し、悩んでいたという。

 自身も元プロレスラーだった響子さんは、「プロレスラーは期待されたものに対して無理しても応えようとする。骨が折れても『大丈夫』と言う人たち。ビンタを期待されたら、断ることは花にとって苦しかったのでは」と話した。制作側に対しては「花のメンタルよりも視聴率を大事にしたという風にしか見えない」との疑念を抱いている。

フジ側「ビンタ求めた事実出てない」

 フジテレビは社内調査チームを設け、結果を近く公表する方針。3日の定例記者会見では、スタッフが花さんに「ビンタ」を求めたかどうかについて大多亮常務が「そのような事実は出ていない」と否定した。

 出演者は番組側と「収録期間中はスケジュールや演出を含めた撮影方針について番組側の指示に従う」などと取り決めた同意書を交わしていた。大多常務は「感情表現や行動を曲げるなど、演出上のすべてに従わないといけない、というような契約ではない」としている。

 これに対し響子さんは「明確な指示がなかったとしても、出演者と制作側は対等ではない。22歳の子が断れる状況だったといえるのか」と反論した。「(『テラスハウス』は)リアリティー番組をうたっているけど、中身はそうじゃない、視聴者の誹謗(ひぼう)中傷を誘うつくりだったと認めてほしい」。今後、番組側を提訴することも検討しているという。(大野択生、守真弓)

炎上した行為「スタッフからあおられたものと」

 フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラー木村花さん(当時22)が死去した問題で、母親の響子さん(43)が4日、朝日新聞の取材に応じた。一問一答は以下の通り。

 ――今回、取材に応じた理由は

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 「(花さんが亡くなった後は…

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