「葬儀は規模縮小、グリーフケアに活路」 鎌倉新書社長

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聞き手・箱谷真司
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 新型コロナウイルスの影響で葬儀業界が苦境に立たされている。「3密」を避けるために葬儀を縮小する人が増えているためで、オンラインを活用した新たな葬儀の形も生まれている。葬儀や終活に関するウェブサイトの運営や情報誌の出版を手がける「鎌倉新書」の小林史生社長に聞いた。

 ――新型コロナは葬儀業界にどんな影響を与えていますか。

 「打撃は大きい。3月以降は感染リスクを減らすために参列者数を抑える傾向にあり、単価が抑制されている。火葬のみを行う『直葬』、家族だけで開く『家族葬』などは希望者が増えている」

 「そもそも、新型コロナの感染が広がる前から、葬儀の単価は下がり続けていた。核家族化や都市部への人口集中などの影響で、形式を重視する大規模な葬儀のニーズは減っている。我々の調査では、葬儀の平均費用(飲食・返礼品を除く)は2013年に130万円ほどだったが、近年は約1割減った。新型コロナを受け、直近ではさらに3割ほど落ちている印象だ。今後も単価が下がり続ける恐れがあり、業界としてこの変化をどう捉えるかが重要になるだろう」

 ――新型コロナを受け、オンラインの活用を始めた葬儀社もあります。

 「いまは新型コロナの渦中なので、暗中模索の状態だろう。オンライン会議システムなどを使って葬儀の様子の映像を(参加できない親族や故人の友人らに)配信するサービスを始めた葬儀社もあるが、大幅な単価アップにはつながっていないようだ」

 「葬儀でのオンライン導入は、デジタルトランスフォーメーション(DX)とは言えないと考えている。DXは、デジタル・オンライン化によって課題を根本的に解決することだ。しかし、葬儀では現地の空気を感じ、故人の仲間に会うことが今も大切にされる。オンラインサービスを始めてもほとんどの人は使わずに、現地に集まりたいと考える状況が続くとみられ、新型コロナの感染リスクという『負』の部分の解消にはならない」

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 「葬儀に参加するのは60…

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