マイナポイント 幻の1万円案が頓挫した理由は

有料記事

編集委員・伊藤裕香子
[PR]

 「上限5000円分もらえちゃう!」

 政府がこう宣伝するマイナポイントの申し込みが、7月から始まった。たとえば家族4人で全員がマイナンバーカードを持っていれば、合計で最大2万円分になる。所得の高い人も、高価な買い物にも使える1人最大5千円分のポイント。そもそもいま、なぜ、もらえるのか。

消費喚起とカード普及が目的

 最大5千円分を手にするには、マイナンバーカードを持っていること、専用のサイトでIDを発行してもらい、電子マネーなど一つの決済サービスを選んで登録することなどが必要だ。9月から来年3月の間、2万円までの買い物やチャージの利用額に応じて、選んだ決済サービスに25%相当のポイントがつく。

 マイナポイントの目的を、安倍政権は、昨年10月に消費税率を10%へ引き上げた後、そして今年予定されていた東京五輪パラリンピック後の消費喚起策と位置づけてきた。「デジタル社会のパスポート」とうたって、活用先を広げたいマイナンバーカードをもっと普及させ、キャッシュレス決済を広げる後押しの役割もねらった。

再分配には役立たない

 新型コロナウイルスの感染が広がり始めた今春には、上限額を5千円から1万円以上に引き上げる案も政府内で浮上した。感染の収束後に消費を底上げさせるきっかけに、お得感を前面に打ち出す発想だった。しかし、マイナンバーカードの普及率が2割にも届かない現状に「受けられる恩恵の差が大きい」との意見が出て、還元額を倍増させる案は幻に終わった。

ここから続き

 恩恵に差が大きすぎると問題…

この記事は有料記事です。残り1013文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら