神の教え、西成で知った コロナ禍にシスターが見たもの

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聞き手・小若理恵
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 新型コロナウイルスと向き合う日々が続く中、暮らしの最前線で人々は何を体験し、何を学び、今後に何を生かすのか。大阪・西成で野宿者の人権を守る活動などを続ける聖母被昇天修道会西成修道院シスターのマリア・コラレスさん(83)に聞きました。

 来日60年、「なぜ日本に来たのですか」と、繰り返し聞かれます。30年前、大阪・西成に赴任するまでは「宣教のため」と信じて疑いませんでした。野宿者と出会い、私の信仰は完全にひっくり返されました。

1936年、スペイン生まれ。聖母被昇天修道会・西成修道院シスター。少女時代にマドリードのカトリック修道院に入り、20歳でシスターに。22歳で来日し、大阪・箕面、高松、淡路島などで宣教活動にあたり、1989年、大阪・西成に赴任。野宿者の人権を守る活動や外国人難民の支援などに携わる。

 多くの日雇い労働者が暮らす釜ケ崎で、野宿者におにぎりを配る夜回り中の出来事。顔見知りの男性に「この間、眠っていたからおにぎりを置いておいたのよ」と声をかけると、「いや、なかった」と言うのです。私は「誰かが取ったのでしょう。今度はリヤカーの陰に置いておくね」と返しました。すると男性は私をじっと見て、こう言いました。

 「おなかがすいていた人が食べたんだ。それでいいじゃないか」

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 私は神を知らない人に福音(…

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