「顧みられない熱帯病」 薬につながる発見、大阪府立大

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瀬川茂子
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 悪化すると睡眠のリズムが乱れ、昏睡(こんすい)状態から死に至る「アフリカ睡眠病」。原因は、吸血性のツェツェバエに運ばれ、人や家畜に寄生する単細胞の原始的な生物、原虫の1種だ。

 大阪府立大の乾隆教授(57)らは、この原虫「トリパノソーマ」の生存に欠かせないたんぱく質の構造を解析し、4月に英科学誌に発表した。この構造を元に、たんぱく質の働きを抑える治療薬の開発を目指す。

 取り組んだきっかけは、以前勤務していた大阪バイオサイエンス研究所で親しくなったコンゴ人の同僚だ。独裁政権下のザイール(現コンゴ民主共和国)から飛び出し、ルーマニアや日本の大学で学び、アフリカ睡眠病の研究をしていた。

 乾さんが大阪府立大で研究室を立ち上げた時、ケニアで研究をしていた彼から、十分な研究ができないから、協力してほしいと言われ、「やろう」と即決した。

 開発途上国で必要とする薬は、膨大な資金をかけて開発したとしても利益が見込めない。「顧みられない熱帯病」といわれ、製薬会社は手を出しにくい。外資系製薬会社で働いた経験がある乾さんは、その事情がわかるだけに、大学に職を得た自分がやるべきだ、とも思った。

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 原虫のゲノム解析から、どの…

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