65センチはみ出した壁が大問題 議長と市が法廷対決へ

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臼井昭仁
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 金魚の街として知られる愛知県弥富市が、「壁」問題で揺れている。米国境に壁が築かれ、人気漫画では巨人の侵入を防ぐ壁が登場する時代。弥富市の「壁」は約65センチ、市有地にはみ出していたことが、市議会と市役所を巻き込む訴訟に発展している。

 壁は、愛知県弥富市平島町中新田の川のほとりに立つ2階建ての賃貸アパートにある。2棟の横の壁が市有地である水路側へ幅65センチ、長さ60メートルにわたってはみ出している。このアパートを所有しているのが、同市の市議会議長・大原功氏(77)だ。

 弥富市は大原氏を相手取り、訴訟を起こした。①壁を撤去し、土地を市へ返還②これまでの使用料にあたる不当利得を市へ支払う――を求める内容だ。

 大原氏側は「支払い義務はない」と主張し、すでに債務不存在の確認を求める訴訟を名古屋地裁に起こしている。裁判所での審理は、市側が起こした反訴と併合される見通しだ。

 このアパートが完成したのは2007年。だが、はみ出した壁が問題になったのは19年に住民監査請求が起こされてからだ。

 市監査委員は同年10月、「(市は)財産の管理を怠る事実があった」と指摘。市に対し、大原氏に「2年以内の壁の撤去」と「不当利得約133万円の支払い」を求めるよう勧告した。

 市の求めを拒んだ大原氏は債務不存在を主張、これに市が反訴に踏み切った、というのが現在の状況だ。

 なぜ、住民監査請求が出されるまで、壁の問題は放置されたのだろうか。

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 市に残る資料によると、アパ…

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